こんにちは、中村はなです。
スキマバイト体験記、12回目にして、ついに私の中の「積年の夢」が叶う日がやってきました。今日は、そんな特別な一日のお話です。

教員時代からの、密かな憧れ
実は私、教員時代からずっと、「カフェで働くこと」に憧れていました。休みの日には素敵なカフェを探して歩くのが好きで、居心地のいいお店に出会うたびに、「あぁ、仕事をやめて、ここで働けたらいいのに」と、本気とも冗談ともつかない気持ちを何度も抱いていたものです。
当時の私にとって、カフェ巡りは数少ない息抜きの時間でした。授業の準備や採点に追われる毎日の中で、ふらりと立ち寄ったカフェの椅子に腰かけ、丁寧に淹れられたコーヒーの香りに包まれるだけで、肩の力がすっと抜けていくような感覚があったんです。そして決まって、店内をぐるりと見渡しながら、「このお店で働いている人は、毎日こんな空間にいられて幸せだろうな」と、「教員やめて、ここで働きたいなー」と、羨ましさ半分、憧れ半分の気持ちでスタッフさんの動きを目で追っていました。
そのうち妄想はさらに膨らんで、「自宅でカフェができるかも?」なんて、自宅カフェ計画まで頭の中で組み立てていたこともありました。自宅リビングをどう改装するか、どんなメニューを出すか、友達化夫に手伝ってもらおうか——実現するあてもないまま、ノートの端にこっそり間取り図を描いていたこともあります。結局、教員という仕事を続けながら、その夢は「いつか」のまま、心の引き出しにしまい込んでいたんです。
その「いつか」が、スキマバイトを通じて、思いがけず今回訪れることになりました。求人一覧の中に「カフェホールスタッフ募集」の文字を見つけた瞬間、心臓が少しどきっとしたのを覚えています。迷う間もなく、「行きたい!」と、応募ボタンを押していました。
丸いお盆に並ぶ、小鉢の世界
今回勤務させていただいたのは、丸いお盆の上にメインと小鉢が5、6種類ほど乗った「プレート」が人気の、素敵なカフェでした。運ばれてくるプレートを見るたびに、「これは人気があるよなぁ」と、納得できました。
小鉢の中身は月替わりのようで、この日は根菜の煮物、彩り豊かな野菜のマリネ、そして地元でとれた季節の副菜が並んでいました。ひとつのプレートの中に、これだけ手をかけたお料理がぎゅっと詰め込まれている様子を間近で見て、「このお店の人気の理由が、よくわかる」と、働く側になって初めて納得しました。
シンプルで品のいいスタッフTシャツと、サロンエプロンを支給していただき、いよいよお仕事開始。まずはテーブル番号を覚えるところからスタートし、プレートの出し方を教わりながら、配膳とバッシングを担当しました。プレートの持ち方ひとつにも、こぼさないための細かいコツがあって、最初は緊張しながら運んでいたのですが、少しずつ慣れてくると、自分の中でリズムができていくのがわかりました。
働き始めて、まずホッとしたことがありました。注文はすべてお客様のスマホから行う仕組みで、私がテーブルまで注文を取りに行く必要がなかったんです。正直、メニューの中身をまだしっかり把握できていない状態だったので、「注文を取りに行って」と言われても、きっと焦ってしまっただろうなと、容易に想像がつきました。その心配がいらなかっただけで、気持ちにかなり余裕が生まれました。
実際、沖縄でのリゾートバイトで、ランチの時に注文を聞きにいかなければいけないことが何回かあったんですけど、とっても苦手だったんです! なぜかというと、メニューの書き方や厨房さんへの伝え方など、やっぱり独特のルールがあって、間違うとしっかり注意されたからなんです。
さらに感心したのが、キッチンカウンターに置かれたタブレットです。お客様がスマホで注文を確定すると、そこに品名とテーブル番号が次々と表示されていくんです。厨房の方はそれを見ながら、順番にお料理を仕上げていく。私はできあがったプレートを見て、タブレットの表示と照らし合わせながらお席へ運ぶ、という流れでした。口頭でのやりとりに頼らず、これだけスムーズに情報が回っていく仕組みを目の当たりにして、「便利になったものだなあ」と、素直に感心してしまいました。
お客様の顔ぶれも、カフェらしさそのもの
お客様の層は、圧倒的に女性同士のグループが多かったのですが、ご夫婦やご家族での来店、男性お一人でゆったり過ごされている方もいらっしゃって、思っていた以上に幅広い層に愛されているお店なんだなと感じました。
女性同士のグループのお客様は、プレートが運ばれてくるたびに「わぁ、可愛い!」「写真撮ろう」と盛り上がっていて、見ているこちらまで嬉しくなるような賑やかさでした。一方で、お一人でいらっしゃる男性のお客様は、静かに本を読みながら、または景色を楽しまれながら、ゆったりとした時間を過ごされている様子が印象的で、同じ空間の中に、いろいろな時間の過ごし方が共存しているのが、なんだか素敵だなと思いました。
デザートには、パフェやケーキ、ワッフルなど、見るからに美味しそうなものが並んでいて、甘いものがそれほど得意ではない私でも、「これは食べてみたいな」と思ってしまうほどでした。特に、生クリームがたっぷり乗ったワッフルは、運ぶたびに焼き立てのいい香りが漂ってきて、配膳をしながら、心の中でこっそりメニューをチェックしていた自分がいます。「今度プライベートで来るときは、絶対にこれを頼もう」と、密かに決意していました。
バッシングの合間に聞こえた、嬉しい一言
この日、一番心に残ったのは、バッシングをしているときに聞こえてきた、お客様の何気ない一言でした。
「とっても美味しかった!」
そうおっしゃっているのを何度も耳にして、たった1日限りのスタッフである私まで、思わず嬉しくなってしまいました。作ったのは私ではないけれど、その空間の一部として働けたことが、こんなにも誇らしい気持ちになるものなんですね。
お会計の後、笑顔で「ごちそうさまでした」と声をかけてくださるお客様もいて、そのたびに心の中で小さくガッツポーズをしていました。教員時代、子どもたちの「わかった!」という瞬間に感じていた喜びと、どこか似た温かさがそこにはありました。立場は違っても、「誰かの満足そうな顔を見られる仕事」というのは、こんなにも心を満たしてくれるものなんだと、あらためて実感した瞬間でした。
「このまま働きたい」——本気でそう思った日
幸い、私が入った日はそれほど忙しくなく、焦らずに落ち着いてお仕事をすることができました。そのおかげもあってか、働けば働くほど、「あぁ、ここでこのまま常勤で働きたい!」という気持ちがどんどん膨らんでいきました。

休憩中、スタッフさんたちの何気ない会話を聞いていても、みなさん本当にこのお店が好きなんだろうな、という空気が伝わってきました。忙しい時間帯でもぴりぴりした雰囲気にならず、お互いに「大丈夫?」と声をかけ合いながら動いている様子を見て、「こういう職場で働けたら、毎日が楽しいだろうな」と、ますます気持ちが傾いていきました。
思い切って、採用の可能性があるかどうかも聞いてみたんです。担当の方は丁寧に答えてくださり、「タイミングが合えば」というお話もいただけて、正直かなり心が揺れました。ただ、自宅からは少し距離があるお店だったので、通うことを考えると、もう少しじっくり考えてみたいというのが正直なところです。夢が叶いそうな瞬間に、現実的な条件が顔を出す——このバランスの取り方も、59歳ならではの悩みなのかもしれません。
ふと言われた一言に、ちょっとブレーキ
そのカフェは一軒家を改装したお店で、2階席もありました。木の階段を上り下りしながら配膳する場面も何度かあったのですが、そのたびに「素敵な造りのお店だなあ」と、うっとりしながら働いていました。
働きながらスタッフの方とお話ししていたときに、こんな一言をいただきました。
「50代の人は、階段の上り下りで膝が痛くなって難しい、っていう人もいるんですよねー」
さらりと言われた一言でしたが、私の中には静かに響くものがありました。今のところ、私の膝はまったく問題ありません。それでも、もうすぐ還暦を迎える身としては、「これから先、どうなるかわからないな」と、少し立ち止まって考えさせられる一言でした。
これまでの体験でも、体力面での気づきは何度もありましたが、今回のように「この先の自分」を意識させられたのは初めてかもしれません。憧れが叶いそうな場所だからこそ、余計にこの先のことをリアルに考えてしまったのかもしれません。年齢を重ねるということは、できることの範囲が少しずつ変わっていくということでもあるんだな、と、階段を一段一段上りながら、しみじみ考えていました。
しばらくお休みをいただきます
実はこの記事を書いている翌日、眼瞼下垂の手術を控えています。まぶたが下がってきて視界にも影響が出てきたため、思い切って手術を受けることにしました。術後2週間ほどは、お仕事をお休みする予定です。
なので、スキマバイト体験記も、少しの間お休みをいただこうと思います。次から次へと新しい現場に飛び込んできたこの数か月でしたが、こうして立ち止まる時間も、体をいたわるためには必要なことなんだろうと思っています。
ただ、今回出会えたあのカフェのことは、休んでいる間もきっと何度も思い出すと思います。もしまたあのお店でタイミーの募集が出たら、ぜひもう一度行ってみたいと思っています。憧れの続きは、また落ち着いた頃に。回復した私が、次はどんな顔であのカフェの扉をくぐるのか——それもまた、いつかこのブログでお伝えできたらと思います。
今回の報酬
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時給 | 1,200円 |
| 勤務時間 | 3時間30分 |
| 基本給 | 4,200円 |
| 交通費 | 300円 |
| 支給合計 | 4,500円 |
これからも「元教員の自習室」として、色々な現場への挑戦と、そこから得た気づきを記録していきますので、少しお休みをいただいたのち、またどうぞよろしくお願いします。
中村はな


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